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DVD 名作コレクション
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     〜 『 私には出来るんです。証拠を何も残さないで・・・。 』 〜 
 ストーリー

・幼少時より、パイロキネシス(念動発火能力)という炎を自在にあやつる特殊な能力を持つ青木淳子(矢田亜希子)は、怒りをキッカケに自分でも制御不能になる危険な能力を隠し、目立たぬよう平穏で孤独な日々を送っていた。しかし、密かに思いを寄せる会社の同僚・多田一樹(伊藤英明)の高校生の妹、雪江が暴行されたうえ殺害される。犯人は18歳の小暮昌樹、親の力で釈放される彼を狙い、殺害を計画する多田をパイロキネシスを使い阻止した淳子は、多田に変わり、復しゅうのために自らの能力を使う事を決意し、その力の秘密を告白する。駐車違反のベンツを燃やして能力を証明した淳子だったが、淳子の能力で幼少時、弟が犠牲になった刑事の牧原(原田龍二)は、この事件に注目。半信半疑の上司、石津ちか子(桃井かおり)に協力を促し捜査に乗り出し始める。小暮には大ヤケドを負わせたものの、多田に制止され、未遂に終わった淳子は、会社を辞めて姿を消してしまう。そんな淳子の前に人を自在に操れる能力者、木戸浩一(吉沢悠)が現われる・・・。

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 解説&見所

原作は、発売と同時に総売り上げ70万部を超える大ベストセラーとなり、デビュ−以来、数々の文学賞を受賞した実力派、宮部みゆきの同名小説「クロスファイア」。

監督は平成ガメラシリ−ズで手腕を振るった特撮名監督の金子修介氏。主演の矢田亜希子以外には、中山忍、藤谷文子、蛍雪次郎、永島敏行、本田博太郎などのガメラシリ−ズに出演した通称ガメラ組の俳優陣らがズラリとカメオ出演で、特撮好きなあなたなら思わずニヤリとする事間違いなし。

矢田亜希子はこの映画で堂々初の主役を務め、自分の能力の暴走をひたすらに押さえてひっそりと孤高に暮らし、怒りや憎しみ、泣く事さえも封じ込めている意志の強い悲劇のヒロイン、青木淳子を見事に演じていて拍手を送りたいぐらいの熱演ぶりです。

そしてもう一人、第5回 東宝シンデレラに選ばれた長澤まさみは、この映画が事実上のデビュー作。

淳子と同じパイロキネシス能力を持つ少女・倉田かおり役でありながら、これだけの大女優になった今でも、この映画後半、笑顔が出るまでは誰も長澤まさみだとは気づかないというオーラを消した驚異の地味演技を披露。デビュ−時独特のういういしさと素人っぽさ満載の長澤まさみを楽しめる映画でもありますので、お見逃し無く。


内容は、社会機構の歪みから発生し、警察内部にまで及ぶ異常犯罪者達と、その犯罪に巻き込まれた被害者の兄と、その恋人であり超能力者である淳子(矢田亜希子)の葛藤と戦いを軸に、特撮で描かれたSFサスペンス色の濃い人間ドラマです。

命を重んじる者と、命を軽んじる者との、正義&邪悪の究極の戦いとも言えます。

淳子のパイロキネシスで燃えあがる迫力ある炎のスペクタクルシーンももちろん見所ですが、作品に登場する様々な異常者たちを上げてみると・・・・。

一人でさみしく人形と遊ぶ幼少時の淳子に近づき、殺そうと金づちを振り上げる中学生。
無差別に連続殺人を繰り返す鬼畜のような未成年者集団。
警察機構に属しながらも、彼ら未成年者の犯罪者を擁護し自らも快楽殺人を繰り返す刑事部長。
ガーディアンという理想と異常者長谷川に洗脳されて、最後は殺されてしまう思考停止の超能力者、木戸。

どうですか? この作品は2000年制作ですが、いずれも今までに話題になったような現在としては何も珍しくない普通の犯罪者たちというのが、この映画の恐い所です。

それほど今の社会では、こんな犯罪は日常茶飯事で、いっそう犯罪は私達の身近にせまっている感があります。

たったひとつ今のこの世界に欠けているのは、青木淳子や倉田かおりのような怒れる超能力者たちでしょうか?

それとも強い意志を持った正義の執行者でしょうか?

あなたにパイロキネシスがあれば正義の為に使いますか?そんな問いかけが聞こえてくる秀逸な映画です。

そして、そんな異常者達とは対極に、淳子を法のもと、正義感と良心で擁護する桃井かおり演ずる、女刑事の石津ちか子。
又、淳子の能力を知っても変わらず愛しつづける伊藤英明演ずる、多田一樹の大きく深い人の暖かさ。

淳子と多田が再会して抱き合い、2人に降る雪が淳子の能力で、空中で蒸発するシーンは屈指の名場面です。

異常者の上司・長谷川が執拗に淳子を抹殺しようとしているのを知るや、狙撃されないように石津刑事が手錠をかけて確保するラスト近くのシーンなど。

この2人は私達の正義感&良心、愛情の代弁者で、彼や彼女がいる事で、見ているこちらもホッと安心する事が出来ます。

こうして本編ドラマはクライマックスに向かいます。

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そして、特撮の見せ場は炎の演出。

映画のラスト近く、全ての罪を淳子にかぶせ、テロリストとして記者会見を始める刑事部部長の長谷川(永島敏行)が、淳子の怒りの具現化したすさまじい炎に包まれる.迫力の人体発火は必見
(チャプター
16
)。

このシーンは監督がもっともこだわった場面だそうで、クライマックスの最大の見せ場です。

体から吹き出すおびただしい炎に腕、顔と次々と包みこまれ全身が発火。長谷川が悲鳴をあげ、苦悶し目玉さえ飛び出し崩壊していくクローズアップシ−ンは圧巻


      <人に害をなす悪は許さない>という青木淳子の最後の強烈なメッセージです。

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こうして長谷川の悲惨な最期をTVで見た多田は、自宅に帰ると淳子が生きて帰っていないかと誰もいない部屋を見回す。しかし淳子が帰っているはずもなく、一人食事の用意をする彼の後ろで、部屋に置いてある亡くなった妹・雪江の形見のキャンドルに淳子の意志によるものか、自然と優しい炎がともるせつないラストシーンには涙が出ます。


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                    快楽殺人という犯罪行為のおろかさ。

        超能力を持っているがゆえの、一人の女性を通して描かれる愛&苦悩と葛藤。

              最後は自己犠牲と共に姿を消してしまう悲劇の主人公。

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          ★ 本作は、人間の根源、善&悪の対決を描いた感動ものの秀作です。★

               ★ 孤高のヒロイン、淳子の活躍を是非ご鑑賞下さい。★



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・名作 度数
・スト−リ−
・キャラクター
・VFX 度数
・せつなさ度数
・ハッピ−エンド
・購入してゆっくり楽しむ。
・簡単レンタルで楽しむ。
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・公開年  : 2000年6/10
・制作国  : 日 本
・上映時間 : 115分
・仕 様   : カラー
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