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時をかける少女 〜 『 ・・・ 私ね、丸1日時間が逆戻りしちゃったみたいなの。 』 〜
● ストーリー
・ 高校生の芳山和子(原田知世)は、ある土曜日の放課後、掃除を終えた実験室で、人の気配を感じ薬品室をのぞくが、そこには倒れたビ−カ−から白煙とラベンダーの甘い香りが漂っているだけだった。そしてその香りに包まれた和子は突然、体の力が抜けて気を失ってしまう。同級生の吾郎(尾美としのり)と、深町(高柳良一)に助けられ、保健室で眼が覚めた和子は、同席した担任や吾郎、深町に経緯を話すが、実験室には和子の話したビーカーも煙も跡形も無かった。釈然としない週末を過ごした和子は、大きな地震で、幼なじみの吾郎の家でのボヤ騒ぎがあった翌日の火曜日、登校途中古いお堂の屋根瓦が崩れ落ちてくる危険な場面に遭遇。悲鳴を上げた瞬間、それをきっかけに、丸1日時間を逆戻りしてしまう ・・・。全てはあの実験室での出来事から始まったと考えた和子はその核心に迫っていく。
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● 解説&見所
原作は、SF作家、筒井康隆氏の同名小説。1966年に発表され、2010年にもリメイクされ、今も語られるSF小説の傑作
『時をかける少女』 を、叙情派の奇才「大林宣彦」監督が手がけた尾道3部作のうちの入魂の1作(他の2作は「転校生」、「さびしんぼう」)。
特筆すべき見所は、当時、角川映画の薬師丸ひろ子に続く大型新人募集イベントにおいて、特別賞を受賞した原田知世を主人公に、ピュアな少女の不安定な思春期と、ゆれる恋心をタイムトリップの謎を解きながらも見事に描ききっているところです。
原田知世はこの作品で、それまでに主演したTV作品(「 セ−ラ−服と機関銃
」、「 ねらわれた学園 」)をはるかに超える細やかで新鮮な演技力を披露。見事な映画初デビューを果たしました。
さらに角川映画は松任谷由実作詞・作曲の映画主題歌にも原田知世を起用。
透き通るような歌声と歌唱力ともに実力を見せ、カリスマ的ともいえるピュアな魅力で1983年の大ヒット曲になり歌手としても大成功しました。そして、この映画は瞬く間に原田知世の人気も開花させたファンタジー作品の傑作であり、彼女の代表作となりました。
又、忘れてならないのは、当時(1983年)、映像の魔術師といわれた、独特の大林ワ−ルド。
劇中、尾道の階段の多い起伏の多い土地に、あえて原田知世にゲタをはかせて歩かせてみたり、吾郎の実家のしょうゆ蔵。和子&深町が通る夜の見事な竹林道。古い街並やロケを縦横無尽に駆使して、ノスタルジックな尾道を演出する事によって、この映画の時間というテーマが、さらに際立つ独特の世界観が見事に完成されています
プロップ(小道具)も、和子に飛びかかった目の大きな日本人形をはじめ、日めくりのカレンダー、古い割れた3面鏡、部活で使用する弓矢など、あえて日本的な要素を取り込んだ演出が、随所に見られます。和子の部屋のエンジェル・キッスはご愛嬌。
郷愁をさそうBGMやサウンドは全て松任谷正隆が担当。唯一の不思議な劇中歌<愛のためいき>の歌詞は大林宣彦のオリジナル。
この80年代、CMも多く手がけていた監督らしく、まだCGも無いこの時代、タイムトリップ(時間跳躍)する時間の概念を表現するときにも古時計や風景、原田知世をコマ落としでコラ−ジュしたり、芳山和子が山から落下、深町がその後に続いて、山から飛び降りるシ−ンなど、普通ならとらない平面的な撮影をしたりと、結構、独壇場のシュ−ルな表現が多いのも見所。要所要所に遊び心満載の映像が見て取れます。
しかも遊び心だけではなく、芳山和子役の原田知世の明るくそれでいて静かなたたずまいを持つ不思議でピュアな魅力。
本作の全ての謎を握るキ−パ−ソンである深町一夫(高柳良一)の感情を押さえた演技。
幼なじみの五朗(尾美としのり)のひたむきな人間的の暖かさ。
教師・福島利夫役の岸部一徳の坦々とした演技など、各俳優のキャラクターを100%生かしきる独特の静かで落ち着いた間&演出が秀逸です。
又、往年の大スタ−の上原謙&入江たか子も深町一夫の祖父&祖母役で特別出演して作品に厚みを与えています。
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そして、ラストはハッピーエンドにはなっていませんが、原作には無い、まるで続編があるかのようなラストとなっているところが大林ファンタジーらしい余韻のある終局になっています。
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映画本編が終わっても、ラストナンバ−の主題曲(時をかける少女)がミュージッククリップになって始まり、出演者全員で、徐々に映画の場面を時をかけるようにさかのぼっていくという最後の最後まで凝った演出が楽しめる様に構成されています。
80年代、私はこの映画を映画館で見たのですが、このラストのサプライズもなかなか楽しめました。特に映画では時計屋の不気味だったおじさんが、明るくリズムにのっているところは爆笑でした。みなさんも是非最後の最後まで見逃さずにご鑑賞下さい。
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★★★★
・名 作 度
・スト−リ−
・キャラクター
・ファンタジー度
・青 春 度
・ハッピ−エンド
・購入してゆっくり楽しむ。
・簡単レンタルで楽しむ。
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原田知世版の続編です。
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・公開年 : 1983年
・制作国 : 日 本
・上映時間 : 分
・仕 様 : カラー