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〜 『 いつもあなたのそばにいます。 いつまでも、ず〜と・・・・ 』 〜
● ストーリー
大きな地震が発生した翌日、赤い服を着た女性の溺死した他殺体が発見される。この捜査に当たった刑事・吉岡(役所広司)は事件現場で見覚えのあるボタンを目にする。自宅に戻った吉岡はボタンが1つなくなっている自分のコートを確認し、いぶかりながらもその日の夜、殺人現場に戻りボタンを探し出すが、不気味な女の叫び声と死んだはずの赤い服を着た女性を目撃する。不可解な現象に、死体置き場に安置された遺体・仮称、F18号と呼ばれる女の顔を1人確認する吉岡。OLのはるえ(小西真奈美)と付き合いながら、古い団地で平穏に暮らす吉岡だったが、この日を境に吉岡の周りでは普通では計り知れない奇妙な出来事&連続殺人事件が頻発し、どこかで自分とつながっていると思われる赤い服の女と、数々の事件の謎を解明する為に、断片的な自分の記憶をたどりながら吉岡の苦悩の日々が始まる。
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● 解説&見所
2006年度・ベネチア国際映画祭でも大絶賛され、好評を博した黒澤清 監督作品の最高傑作。
2006年時点で黒澤清作品中でも、文句なく1位にしたい抜群の面白さを持ったホラーサスペンスの傑作です。
要点をまとめると・・・。
1 監督オリジナル脚本で、その練りに練った凝ったストーリー展開が格段に面白い。
2 実力派俳優と、キャラクター設定の合致が素晴らしい。
3 ストーリーの先が全く読めないので、主人公と一緒の視点に立って同時に謎解きを楽しめる。
4 吉岡(役所広司)が次第に真相に迫っていくサスペンス色が濃い厚みのある物語。
5 不可解さや謎解きが多いが、正当な回答がちゃんと用意されているので、グイグイ引き込まれる。
6 2転3転4転の、どんでん返しが用意されていて、最後の最後まで目が離せない。
7 赤い服の女の幽霊の描き方 (美しくてうつろ、さらに無表情の冷たさ)
がとてもリアルで不気味。
印象的な場面、ショッキングな場面展開は・・・。
・ 悲鳴をあげながら現われる美しい赤い服の女の幽霊。⇒全ての謎は彼女から。
・ 陰鬱さや憂鬱さを吹き飛ばし、謎を追求する行動派の吉岡(役所広司)の活躍。
・ 吉岡の恋人である清楚なハルエ(小西真奈美)の衝撃の正体⇒ハルエの正体はラストでわかります。
・ 連続殺人の加害者達の奇妙な動機の一致の謎。⇒しっかりと因果関係が描かれています。
・ 連続殺人加害者の1人・外科医の佐久間が追い詰められビルから飛び降りる場面をワンショットでとらえる斬新なシーン。
・ 同僚刑事の宮地(伊原剛志)が、作品中唯一直接的に赤い服の幽霊の犠牲者になるショッキングなラスト場面。
など、今までの黒澤監督の作品の難解な物・無駄な物を全て排除して、誰もが理解できる正当なサスペンス・ホラーとして制作された集大成みたいな傑作です。見所が多く、幽霊に導かれ翻弄される生者達の葛藤&苦悩のドラマです。
そして、幽霊がいたとしたらこうかも・・・・という擬似体験が出来る映画でもあります。何故なら、よく霊媒体質の人は、普通の人間と変わらない姿で昼間でも、幽霊は歩いているといいます。この映画の赤い服の幽霊も、生身の人間の姿と何も変わりません。足もあります。昼間でも現われます。半透明の幽霊はこの作品には全く登場しないところが新しい。しかも幽霊は1人ではありません。
そして、この幽霊には葉月里緒菜を抜擢。その美貌がアルな恐怖度と不気味感をさらにグレードアップ。
顔の整った美人に会うと、まれに仮面のようでゾクッとする事ってないですか? それが幽霊ってかなり恐い。その上、死んでしまった人間がもつ、うつろさを表情で、生気の無さをそのスレンダーな肢体で見事に演出。
団地の寝室で、鏡を覗き込む吉岡に向かって悲鳴を上げて突然あらわれる赤い服の女の幽霊に飛び上がって驚き、避ける役所広司の演技はこちらの心臓もドキドキものです。(チャプター9)
出現のタイミングが唐突なので、心臓の弱い人は、ボリュ−ムを抑えるか、画面から離れて鑑賞する事をオススメします。私は、あまりの役所広司の驚きようにこちらも驚き、思わず笑ってしまいました。
この後、葉月演ずる幽霊が両手を前に突き出し、髪を振り乱しながら眼を見開き、スローで吉岡に迫り、「
又・会・え・て・う・れ・し・い・で・す 」 とアップで語りかけるシーンも結構ゾクゾクします。
考えれば、リングの貞子も、呪怨の伽奈子もメイク&動きで恐怖度のボルテージを上げていましたが、特殊メイクなしの美しい素顔でここまで恐い葉月里緒菜は数段上をいっています。格が違います。
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不可解さが1枚又1枚とはがされるように次第に解かれる謎とミステリー。
人間の精神のもろさや脆弱さ。それを翻弄し、付きまとう怨念。
何故、女の幽霊は吉岡の前に現われるのか?
そして遂に明かされる赤い服の幽霊&.ハルエの正体。
是非、この上質のミステリー・ホラーをお楽しみください。まちがいなく名作です。
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★★★
・名作 度数
・スト−リ−
・キャラクター
・サスパンス度
・ホラー 度
・ショッキング度
・大どんでんがえし
・ハッピ−エンド
・購入してゆっくり楽しむ。
・簡単レンタルで楽しむ。
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・公開年 : 2006年
・制作国 : 日 本
・上映時間 : 104分
・仕 様 : カラー
叫 さけび
「 お前は何者なんだ・・・・。」
奇妙な出来事に、自分の記憶に自信が無い吉岡は自問自答する。
観念的な映像手法が多く、難解といわれていた黒澤清監督作品。
しかし本作品では、最後まで解決されないような謎や不可解さは綺麗に無くなって、謎解きミステリーの様な展開でぐいぐいと引き込まれる傑作に仕上がっています。