●　ストーリー

　アフターバーナーと呼ばれる新しいタイプの覚醒剤の市場を広げ、手段を選ばず勢力を拡大する強大な犯罪組織クライン。その影響は警察にまで及び、警察内部の内通者の存在さえ疑われ、組織の摘発は進展していなかった。銃器薬物対策課・巡査部長の明日香（黒谷友香）は、女性であるが故の特別扱いを受けたくない｣という強い思いを胸に、特別取締り部隊に属しクライン摘発の最前線で過酷な勤務をこなしていた。クラインの捜査で何人もの同僚が命を失い、明日香のパトナーであり、恋人の古芳は数日まえから行方不明となっていた。そんな状況の中、クラインのボス・君国（萩原健一）の愛人であるはつみ（佐田真由美）が「私を保護して下さい。私は君国の全てを知っています」というメッセージと共に警察に接触を求めてくる。ウエディングコレクションのショーが開かれ、万全の警備体制の中、はつみの救出作戦は開始された。明日香ははつみと接触に成功するが、潜入捜査官はことごとく殺害され、君国の手先と交戦し脱出を図ろうとしたその時、行方不明だった仕事のパートナーであり、恋人でもある古芳警部補（大沢たかお）が現われる。しかも次の瞬間２人に向かって発砲。はつみは頭を打ちぬかれて絶命する。古芳の行動にあ然とした明日香は、現われた君国のスナイパー部隊に全身を銃撃されその場に倒れてしまう。１年後、昏睡状態から病院で目覚めた明日香は自分の体に違和感を感じる。そして、鏡に写ったその顔と姿が、はつみである事にガク然として叫び声を上げる。

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●　解説＆見所

・大沢在昌の衝撃のベストセラーを映画化。脳以外は一切が消滅した孤高のヒロイン、アスカ（佐田真由美の２役）の誕生です。

信じていた恋人の前で、体に銃弾の一斉射撃を受け、心停止してしまった明日香の脳を、体は無傷で頭部を打ち抜かれ、脳死したはつみに移植するという近未来には起こりえるかもしれないアイデアを見事に映像化。

実際、アメリカでは２匹の猿を使って、切断した首を相互移植して生かすという実験にも成功しています。


映画前半は、銃撃戦とアクション重視。明日香の恋人であり、パートナーの古芳との蜜月と信頼の絆が捜査を通じて描かれます。

はつみが頭部に銃弾を受ける場面も、緊迫感＆映像美溢れる緻密に計算されたCGを使用し、スローカットが多用されたスタイリッシュな場面になっています。

その後も、明日香が見る悪夢の、移植時の脳を取り払った２人の半分切り取られた状態の頭部。

リアルに作成された縫合後の明日香の横たわる上半身を捉えたショット。

など、ダラダラ見せるのではなくツボを押さえたＶＦＸの使用で、効果的なビジュアルインパクトが成功。なかなか衝撃的かつリアルで説得力のある作品にしあがっています。

クラインのボス・君国役の萩原健一も、はつみに固執する執念深い悪人を好演。この時期、リアルタイムで足に怪我をしていて、杖をつきながらの出演です。

明日香が脳移植を受けたあとの後半は敵アジトに潜入したアスカの謎解明と.敵味方のどんでん返しが続きます。

　はつみが殺害される前に、明日香に託した４つの暗号、１１　２０　２８　１４　は何を意味するのか？
　何故、明日香の恋人・古芳は、はつみと明日香に銃を向け発砲したのか？
　果たして最も信頼していた恋人・古芳も犯罪組織クラインに寝返ったのか？
　明日香が恋人・古芳からもらった指輪が遺品の中には無かったのは何故か？
　他にも警察内部にいる君国との内部通報者とは一体誰なのか？
　何故君国は、はつみの奪還に固執するのか？

様々な謎がある中、クライン側には怪優の嶋田久作がNO２の幹部役で、警察機構には明日香の上司として佐野史郎が芦田警視役を、西村雅彦が中西警視正役をそれぞれあやしく演じています。この２人がクライマックスでアスカとどうかかわるかが見所です。

自分が脳移植を受けた事実を受け止め、リハビリを繰り返し体力を回復したアスカは、芦田警視の依頼で潜入捜査を開始。はつみに成りすまし君国にたどり着きます。しかし君国は犯罪組織クラインの全財産のパスワードの半分をはつみのある部分に設定していた ・・・。

こうして、アスカ、警察機構、君国の誰が味方で誰が敵かもわからないまま三つ巴の攻防が始まり、古芳も加わります。

古芳を前にしても自分が明日香である事を明かせず、苦悩するアスカが切ないですが、遂に君国を追いつめる事に成功するアスカ達。
アジトに到着した芦田警視（佐野史郎）が君国を射殺した事により、全てが終わったかと思われたが ・・・。

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　　　　　　　　　　　　　　　　最後にもう一度、どんでんがえしと、裏切りがあります。


　　　　　　　　　　　　　　　　★　そしてアスカに訪れる深刻な症状とは ・・・？ ★　


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　　　アスカと古芳の固い絆を軸にクライン壊滅に死力を尽くす２人をサスペンスフルに描いた傑作です。


　　　　　　　　　　　　　　最後の最後まで目が離せません。お楽しみください。名作です。


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