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〜 『 あっという間に原野に戻るさ。 』 〜
● ストーリー
北海道のローカル線の小さな終着駅「幌舞(ほろまい)」で、たった一人駅長を勤める佐藤乙松(高倉健)は、定年を間近に控え、自らの鉄道員としての45年間の人生を振り返る日々を送っていた。仕事に誇りを持ち、温厚で人には優しく、真面目一筋に生きてきた乙松だが、職務に忠実なあまり、生まれて間もなく失ってしまった娘や、病弱で入院した妻の死を看取る事も出来なかったことに悔恨の念を抱いていた。廃線が決まっても、次の職を考えず、黙々といつもの作業を進める乙松。そんな彼の前に、人形を携えた一人の愛らしい少女が突然駅舎に訪れる。「今度小学校1年生になるの。」そう言って少女は姿を消すが、その出会いはやがて乙松の人生にやさしい奇跡をもたらす事に・・・。
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● 解説&見所
この作品は第23回日本アカデミー賞の最優秀作品賞に輝き、主演の高倉健は最優秀主演男優賞を受賞。
原作は第117回直木賞受賞作品で100万部を超える大ベストセラーとなった浅田次郎氏の同名短編小説「鉄道員(ぽっぽや)」です。
この映画は、男の責任感・使命感を誇りに愚直なまでに仕事一筋に生き、今となっては子供にも妻にも先立たれ、誰一人として身寄りの無い孤独な一人身となってしまった、誠実で温厚、人には優しく真面目一筋に生きてきた乙松の人生最後の日々と、そんな彼に訪れた神様のプレゼントの様なあたたかい至福の時を描いた感動の人間ドラマです。
機関士見習い時からの同僚、たった一人の親友・仙次役に小林稔侍。成人した娘・雪子役に広末涼子。妻・静江役に大竹しのぶ。苦楽を共にしてきた食堂のおばちゃん・加藤ムネ役に、奈良岡朋子など、実力派のベテラン俳優陣が脇を固め、この珠玉のストーリーをよりいっそう臨場感のある完璧なものにしています。
映画は、ついに定年を迎えた今の乙松の人生と、過去が回想形式で交互に描かれます。D51の釜たきや機関士見習の時の仙侍を助ける乙松。娘の亡くなった時、妻を迎えにも行けなかった事。炭鉱全盛時のにぎやかな時代。養子をもらおうとしたけれども妻・静江の急病で断念した事。妻の最後に駆けつけなかった事を親戚からなじられるシーン。様々な思い出がエピソードとして語られます。
そんな乙松の前に、ある日5歳くらいの元気な少女が現われます。その少女が去った後に、今は見ない見慣れない人形がポツンと置いてあるのを見て、首をかしげる乙松。
次の日には深夜1:00にもなろうという時間に「 大事な人形忘れたの。」と、小学6年の女の子が現われる。なのに人形を置いたまま、又、帰ってしまうという不思議さ。
そのことを聞いた親友の仙次(小林稔侍)は「雪女でねえのか?」とからかう。
翌日、路線廃止が早まる連絡が入り、落胆したように仕事に戻る乙松。
そして圧巻はやはりこの後、ラストの30分あまり。DVDではチャプター22以降。
今度は突然、姉妹の長女と思われる娘が現われる。
人なつっこいその娘は鉄道が好きだといい、あまりものであっという間に食事の用意まで作ってしまう。
驚きながらも、娘の作ったあたたかい手料理を食べて、愚直に生きてきた為に遂に家族にめぐまれなかった孤独な乙松(高倉健)は、その心のこもったあたたかさに触れ、「おじさんはしあわせもんだ〜」と思わず涙ぐみながら語る。
この独白シーンあたりからは、もう涙なくしては見ることができません。
しかも、その娘が、成人した姿で現われた今は亡き娘、雪子(広末涼子)と知って嬉しそうにしみじみと会話する乙松。
ラストのこの感動シーンは、最後を迎えて倒れた乙松の幻覚とも取れますが、一番初めに5歳くらいの子供で現われた雪子が置いていった人形を、親友の仙次も見ているという事実があります。
又、雪子の作った料理も湯気をたててちゃんと残っており、最後のヒノホ(日誌)には記入があるという事で、作者はあくまでも、幻ではなく乙松が倒れる前に現実に起こったことなのだと言いたかったのではないでしょうか。
私たちが人生を終えるその最後の瞬間には、もしかするとこれぐらいの奇跡は誰にでも起こっているのかもしれません。
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零下10度を超える、寒い寒い駅舎で起こった、とても暖かい感動の名作です。
人生の悲哀、人間の持つ心のあたたかさ、奇跡を体験したい方、是非ご覧下さい。
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雪景色が似合う零下10度を下回る、北海道の静やかで雄大な自然を背景に、ポツンと存在する廃線が決まった終着駅。終着駅を往来する単線列車やラッセル車。回想場面で登場する、今となっては博物館でしか見られない郷愁を誘う蒸気機関車D51(通称デゴイチ)。かつて炭鉱が無くなってから、人の来なくなった食堂等、かけがいの無いものにも全てに公平に終わりは訪れる事を暗示するような、それでいて全てが美しい作品です。
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- ・公開年 : 1999年6月5日
- ・制作国 : 日本
- ・上映時間 : 112分
- ・仕 様 : カラー
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・名作度数
・スト−リ−
・キャラクター
・ハートフル度
・感 涙 度
・ハッピ−エンド
・購入してゆっくり楽しむ。
・簡単レンタルで楽しむ。
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